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菩提寺がなくても葬儀はできる?菩提寺を持たない方の葬儀とご供養

いつかは直面する家族の「お葬式」。 代々お世話になってきた菩提寺の僧侶に葬儀をあげていただくのが一般的です。

しかし、全ての人が菩提寺、つまり先祖代々からお付き合いのある寺院を持っているわけではありません。いま、さまざまな理由で菩提寺を持たないご家庭が増えてきています。菩提寺を持たないという状況は、決して珍しいものではなくなってきました。

しかし、いざ葬儀のことを考えると 「菩提寺がないから、お坊さんはどこにお願いしたらいい?」 「菩提寺はあるにはあるけど、遠くてふだんのおつきあいがない」と不安に思う方も多くいらっしゃいます。

今回は、そんな不安や疑問に答えるために、菩提寺とは何か、そして菩提寺がない場合にどのような選択肢があるのかを、わかりやすく解説していきます。

菩提寺を持たない方々にも、心に寄り添う葬儀のあり方を考えるきっかけになれば幸いです。

私たちの生活に根ざした寺院の役割

菩提寺と聞いて、どんなイメージを持ちますか?多くの人にとって、菩提寺は先祖代々からのお付き合いがある「家族の寺院」という位置づけかもしれません。

かつては、もっと身近だった寺院との人々の関わりについて振り返ってみましょう。

地域におけるお寺の役割

日本においてお寺が果たしてきた役割は、単に宗教的な儀式や信仰の場を提供するだけに留まらず、地域社会における重要な機能を多数担ってきました。

地域におけるお寺の役割をいくつか例をあげてみましょう。

  • 教育の場としての役割
    「寺子屋」と呼ばれる教育機関が多くの寺院に設けられており、読み書きや算数などの基本的な教育を地域の子供たちに提供していました。
  • 地域コミュニティの中心
    寺は地域の人々が集まる場所としても機能し、お祭りや行事、法要など、地域コミュニティの結束を深める様々な活動の中心でもありました。
  • 精神的な支え
    生活の悩みに直面した人々に対し、お寺は慰めや指導を提供する場所であり、地域住民の精神的な支えとなってきました。お寺のお坊さんは、地域住民同士のトラブルの仲裁役として活躍することもありました。

さらに、江戸時代に寺請制度(てらうけせいど)が導入されると、人々は属する寺院に「檀家」として登録され、寺院は檀家の出生、死亡、結婚などの重要な人生のイベントを記録し、これが事実上の戸籍として機能していました。

菩提寺とは?

「菩提寺」とは、元来、家族や一族が代々供養を行うために縁を結ぶ仏教の寺院を指します。菩提寺では、先祖の供養だけでなく、葬儀や法事(お盆や命日などの年忌法要)などを執り行います。

昔は地域の中心であるお寺が、そのまま地域に住む人々にとっての「菩提寺」でもありました。

なぜ菩提寺が重要なのか?

菩提寺は、単に宗教行事を執り行う場所以上の意味を持っています。 先祖代々の記録や記憶を残す「家族の歴史や絆を守る場所」とも言えるのです。菩提寺を通じて、家族の一員として故人を偲び、次世代にその思いを伝える役割を担っています。

菩提寺は家族のアイデンティティを形成する重要な役割をになってきました。

近くて遠い存在、菩提寺との繋がりが薄れる理由

日本の伝統的な家族やコミュニティーの中で、菩提寺は長い間、大切な役割を担ってきましたが、近年ではその繋がりが以前ほど強くないと感じる人も増えています。

一体、どのような変化がこの状況を生んでいるのでしょうか?

  1. 家族構造の変化
    核家族化が進み、多くの家庭が祖父母や親戚と離れて暮らすようになりました。これにより、先祖代々からの伝統や宗教行事への参加機会が減少し、菩提寺との関わりが希薄になる家庭が増えていると考えられます。
  2. 都市化と地理的距離
    高度成長期には、経済的な理由や仕事の関係で、多くの人が地方から都市へと移住しました。地理的な距離と、新しい土地で世代交代が進むことで、菩提寺と関わりも薄れてしまう家庭が多くなりました。

    都市部に住む人々は、祖先の地や菩提寺が遠方にあるため、定期的な訪問や法事への参加が難しいものです。そのため、日ごろから身近に感じるほどの関係が築けないことも菩提寺との繋がりが薄れる大きな理由となっています。
  3. 価値観の多様化
    価値観の多様化も菩提寺との繋がりを薄くする要因です。宗教観の変化や、個人主義の影響で、伝統的な宗教行事に対する関心が低下しています。このような社会的傾向は、特に若い世代に顕著であり、菩提寺との繋がりを重視しない傾向が強まっています。

    先祖代々同じ土地に住んでいる方は、いまでも菩提寺とのお付き合いがある方も多いでしょう。しかし、親世代に転居した場合は、菩提寺とのつながりがないままに喪主を務める場合もあります。

次の章では、すでに菩提寺とのおつきあいがなくなってから久しい場合や、菩提寺を持たないご家庭の葬儀やご供養について考えていきましょう。

菩提寺がない場合の葬儀、どう進める?

菩提寺を持たない状況では、葬儀をどのように進めればよいのか迷うこともあるでしょう。ここでは、僧侶の手配から埋葬方法、法要の実施に至るまで、具体的な選択肢をご紹介します。

お葬式をあげてもらう僧侶をどうする?

  • 近くの寺院へ直接依頼する
    個別に寺院に連絡を取り、葬儀や法事を執り行ってもらう方法です。直接寺院に依頼することで、より個人的な要望を伝えやすくなります。
  • 葬儀社を通じて手配してもらう
    多くの葬儀社では、寺院とのつながりがあります。葬儀社を通して、僧侶を紹介してもらうことができます。葬儀社に仲介してもらうことで、御布施の金銭的な交渉も任せることができますので安心です。
  • インターネットを通じて自分で手配する
    近年では、インターネットを通じて僧侶を手配できるサービスも登場しています。価格やサービス内容を比較し、自宅にいながら依頼することができます。手軽に見つけることができる一方、当日まで対面することがないため、どんなお坊さんが来るのか、きちんとした葬儀をしてもらえるのかなど不安を感じることもあります。

埋葬の選択肢

  • 公営・民営霊園の利用
    公営や民営の霊園の場合は、宗教的な制限がありませんので、個人ごとに異なる形式でお葬儀を行うことが可能です。
  • 自然葬の利用
    近年注目を集めているのが、海洋散骨や樹木葬などの自然に還る埋葬方法です。散骨に関しては手を合わせる場所がないなどの問題点もありますが、故人の意向や家族の考えに合わせて選択することができます。

このように、現代ではさまざまな葬儀や供養の方法があります。

「菩提寺を持たないから」という理由で、葬儀や埋葬に不安を持つことはありません。

大切なのは、故人を思い、家族や親しい人たちが心から納得できる形でお別れをすることです。また、現代ではお寺の在り方もかわりつつあります。 檀家でなくても、葬儀や法要を引き受けてくれるお寺もあります。そうしたお寺へ相談することもおすすめです。

実際にあった、菩提寺がない葬儀の事例紹介

菩提寺を持たずに葬儀を行う方が増えた現代。 その中でも温かく、故人を偲ぶ素敵な葬儀は数多く行われています。ここでは、実際に菩提寺がない状況でどのように葬儀が進められたのか、2つの事例をご紹介します。


事例1: 家族葬での個性を大切にした葬儀

祖父の世代に九州から、仙台に移住したAさんご家族。 故人が生前に「大勢で騒がしい葬儀は望まない」と言っていたことから、家族と親しい友人だけで行う家族葬を選択しました。

九州の親戚とのおつきあいもほとんどなく、代々のお墓も別の兄弟が受け継ぎ、菩提寺とのお付き合いもなかったため、葬儀社を通じて僧侶を手配しました。僧侶による読経の後、参列者それぞれが故人との思い出を語る時間を設け、故人の生きた証を共有しました。

菩提寺がなくとも、故人の意志を尊重した心温まる葬儀となりました。


事例2: 故人の遺志で樹木葬を選択

Bさんの家族は、故人が自然を愛していたことから、樹木葬を選択しました。 特定の宗教行事にとらわれず、故人の遺志に沿った形で送り出すことを優先しました。 お墓の管理で遠くに住む、子世代への負担を考慮した結果ともお話していました。

故人が自然に還っていったとの思いがあるため、遠くに離れていても故人との繋がりを強く感じられると遺族の方が語っていたのが印象的でした。

これらの事例からわかるように、菩提寺を持たない状況でも、故人の意志や家族の想いを形にする多様な方法があります。

反対に、菩提寺があり代々のお墓を持つ方の方が維持費や「墓じまい」について悩む方もいます。 菩提寺がない、お墓がないことは悩みではなく、選択の自由度が高いとも言えます。

故人の生前の意志やご家族の想いを尊重し、その人らしい送り方を精一杯考えることも大切なご供養の過程と言えるでしょう。

菩提寺がなくても、心のこもった葬儀はできる

今回は「菩提寺を持たない場合のお葬式とご供養」について多角的に考察し、現代社会における葬儀の多様性と可能性について考えてきました。

昭和の高度成長期には、仕事を求めて都市部へ移住した方も多くいます。 そこからすでに50年以上が経過し、都市部で成長した世代が喪主を務めることも多くなりました。そういった方々にとっては「菩提寺を持つ」という感覚自体がないこともあるでしょう。

菩提寺には先祖代々の記録や記憶を、現代の家族につなぐという大切な役割があります。しかし、重要なのは、故人を偲び、その人らしさを形にすること。そして、残された家族が心から納得できる送り方を選択することです。

それでも、「菩提寺がなくて葬儀が不安」という場合には、仙台典礼までご相談ください。
ご安心いただける葬儀プランやご供養についてご提案させていただきます。