家族や親類といったごく身近な方々だけで執り行う家族葬。弊社でもっともご要望の多いのも家族葬です。
故人とのお別れの時間を大切にしたいというご遺族が増えており、2022年の調査では葬儀全体の55%以上が家族葬であるというデータもあります。
家族葬といっても、親族や親しいご友人にも参加していただいた場合の「香典返し」は必要ですよね。今回は、家族葬の場合の香典返しについてマナーや相場、ふさわしい返礼品についてご紹介します。
家族葬はお香典を辞退することも…
家族葬の場合は、家族・親族のみで行うため参列を辞退するのが一般的です。
これは「ご遺族に負担をかけないように」という精神的・肉体的負担を軽減する意図があり、場合によっては葬儀日程表に家族葬とあらかじめ記載しておく場合もあります。
しかし、ご縁のある方々が「生前お世話になったので、お線香だけでも…」とご弔問にお越しになり「心ばかりなので受け取ってください」と香典をいただくこともあります。
また、葬儀後の弔問で香典をいただく場面もよくあります。
年賀欠礼を出した際に「うちもお香典を包んでいただいたので受け取っていただかなくてはならない」と郵送で送っていらっしゃる方もあるかと思います。
頑なにお断りしてはかえって失礼にあたりますので、ご香典はありがたく受け取り、後日香典返しを用意しましょう。
葬儀当日は「会葬御礼」の品を用意する
家族葬で香典を受け取らない場合であっても「会葬御礼」の品は用意しておきましょう。
参列に対するお礼なので、香典の有無にかかわらず参列いただいたすべての方へ葬儀当日にお渡しするものです。地域によっては「会葬返礼品」と呼んだりします。
会葬御礼の相場は?
会葬御礼の品物は”お気持ち程度”の物を選ぶのが一般的。相場は500円~1,000円程度で、コーヒーやお茶、海苔などの食品や、ハンカチや図書カード・商品券など「かさばらない」ものも適しています。
お清めの塩やお礼状と一緒にお渡ししましょう。
後返し
宮城県では通夜・葬儀当日の即返しが一般的ですが、お香典をたくさん包んでくださるご親族や関係者もいらっしゃるでしょう。
その場合には、ありがたくちょうだいして四十九日法要が過ぎてから香典返しを贈る「後返し」をしましょう。
四十九日というのは仏教の考え方になるので、神式の場合は五十日後、キリスト教式の場合は一カ月後を目安にそれぞれ「後返し」をしましょう。
現在では、葬儀当日に香典返しをお渡しする「当日返し(即日返し)」が一般的ですが、本来は「後返し」が正しい作法でした。
いただいた香典に対するお返しは、それぞれの宗派の区切りを目途にお返しするとよいでしょう。
香典返しの相場とふさわしい品物は?
香典返しの相場
家族葬の香典返しの相場も、一般葬の香典返しと同じくいただいた額の半額(半返し)から1/3程度が基本です。
近しい親族からの香典は、一般よりも多くいただく場合があります。
例えば、30,000円の香典をいただいたとしたら、半返しの15,000円、または1/3の10,000円程度が相場となります。
しかし、もっと高額の香典をいただく場合もあるかもしれません。
そんなときは厳密な半返しではなく、いただいた額の1/3~1/4程度の予算でも失礼にあたることはありません。
いただいた金額を確認してリストを作り、四十九日を目途にお届けできるように返礼品の手配をしておきましょう。
香典返しにふさわしい品物
香典返しの品は、食品や日用品といった、いわゆる「消えもの」が選ばれます。
また、最近では高額の香典をいただいた際のお返しとしてカタログギフトも人気があります。高額の返礼品を選びは迷うことも多いため、贈られた方が必要なものを選べるカタログギフトもおすすめの返礼品のひとつです。
もしも「香典返しは不要」と言われたら?
「香典辞退」を先に伝えている場合でも、香典をいただく場合があります。その際に「香典返しは不要なので、どうぞ受け取ってください」と言っていただくこともあるでしょう。
ご本人が香典返しを辞退しているので、香典返しを用意しなくても問題はありません。しかし、今後のおつきあいなどを考えればきちんと香典返しを贈り礼儀を尽くしておく方がベターです。
お相手の意志を尊重し、香典返しを贈らない場合でも四十九日が過ぎたら、ご報告と戒名をお礼状にしたためて、あらためて御礼を伝えるようにしましょう。
まとめ
ごく身近な方々で行う家族葬では、香典辞退が一般的です。
しかし、故人のご兄弟や縁が深いご親族からご香典をいただく場合もあります。
その場合は、頑なに固辞するのではなくありがたく受け取りましょう。
そして、後日一般のマナーにのっとって「香典返し」を贈るようにします。
香典返しの品選びに迷ったら、葬儀社の担当者やデパートの店員さんに相談してみるのもよいでしょう。
大切なのは、いただいたお心遣いに礼儀をもって応える気持ちです。
「家族葬」だからと型にはめて考えすぎず、柔軟に対応しましょう。