喪主が果たすべき、大きな役割のひとつにあいさつがあります。
大切な方を失った悲しみ、葬儀の手配、来客者への気遣い…など心にも時間にも余裕がない中で、あいさつの内容を考えるのは容易ではありません。
今回は、喪主あいさつのタイミングや、押さえるべきポイント、実際に使える例文をご紹介します。
喪主としてのあいさつに悩んだら一読いただきたい内容になっております。ぜひ、最後までご覧ください。
1.喪主あいさつのある場面
まずは、葬儀・告別式の全体的な流れを確認していきましょう。
大まかに次のようになっています。
それぞれについて、いつ、どのようなあいさつが必要かを押さえておきましょう。
2.通夜での喪主あいさつ
通夜では、僧侶の読経と参列者の焼香が一通り済んだ後に喪主あいさつを行います。
僧侶が退席し、お通夜が終了したタイミングで弔問者全体に向けてあいさつをしましょう。
以下のような順番であいさつするのが一般的です。
- 参列者に対する参列への感謝
- 告別式の日程や場所の案内
- 結びのあいさつ
通夜振る舞いがある場合は、通夜あいさつの中で参列者に案内しましょう。
通夜の喪主あいさつ例文 1
本日はご多用の中、故人・○○の通夜式にお集まりいただきまして、心より御礼申し上げます。 故人も喜んでいること存じます。 なお、明日の葬儀・告別式は△△時間より××で執り行う予定です。 この後、ささやかではございますが、別室にお食事の席を設けております。ご都合のよろしい方は、在りし日の故人の思い出話などをお聞かせいただければと存じます。 本日は誠にありがとうございました。 |
通夜の喪主あいさつ例文 2
本日はお忙しいところ、亡き○○の通夜式にご足労いただきありがとうございます。 生前は格別のご厚情を賜りましたことを故人も感謝しておりました。故人に代わって深く御礼申し上げます。 ささやかではございますが、別室にお食事の席を設けております。お時間の許す方はお集まりいただき、故人のお話を聞かせていただけると幸いです。 さて、明日の葬儀・告別式は△△時間より××で行います。どうぞよろしくお願い申し上げます。 本日は誠にありがとうございました。 |
現在は、コロナ禍のため大人数での会食する通夜振る舞いを控えるケースが増えています。その場合は、通夜振る舞いのお知らせを省いてあいさつの内容を検討ください。
通夜振る舞いの変わりに、お弁当を用意する場合の例文を下記で紹介していますので、そちらも参考になさってください。
通夜振る舞いをしない場合の例文
礼儀には厳しい父でしたので、本来であればこれからみなさまへお食事のご案内をすべきところです。しかし、現在はコロナ禍という状況から本日の会食は控えさせていただきました。 その代わりに、心ばかりのお弁当をご用意させていただきましたので、ぜひお持ち帰りください。 |
3.葬儀・告別式での喪主あいさつ
一般参列者の受付より早く、僧侶を迎えた場合は僧侶に簡単なあいさつを行います。
また、受付を開始したら次々とやって来る弔問者にあいさつを返しましょう。
読経や弔辞・弔電の奉読、焼香などが終わった後、出棺の前に喪主が全体に向けてあいさつを行います。故人のために参列してくれた方に対し、故人とのエピソードもいれつつ自分らしい言葉で感謝の気持ちを述べましょう。
うまく話す自信がない場合は、メモを見ながらでもかまいません。
喪主の挨拶では以下の内容を含めるのが通例となっています。
・自己紹介(故人との関係性)
・参列へのお礼
・故人が生前に受けた厚意へのお礼
・故人の人柄が伝わるエピソード
・遺族への力添えなど、今後のお礼
基本的に、流れに沿って挨拶をすれば失敗しないでしょう。
次に紹介する例文を参考にして、喪主あいさつを考えてみましょう。
葬儀・告別式の喪主あいさつ例文 1
遺族を代表して、みなさまにひとことごあいさつを申し上げます。 私、故人の長男の○○でございます。本日は、お忙しいなか父の葬儀にご列席いただき、誠にありがとうございます。故人もみなさまからお見送りいただき、さぞかし喜んでいることと存じます。 父は、退職後は孫を連れての釣りやキャンプなど家族との時間を大切にしてまいりました。 晩年は病院で過ごすことも多くなりましたが、最後は家族全員の見守る中旅立ちました。 父がこのように穏やかな晩年を過ごせたのも、ひとえにみなさまのおかげでございます。 本日は誠にありがとうございました。 |
葬儀・告別式の喪主あいさつ例文 2
本日はご多忙の中、父・○○の葬儀にご会葬いただきまして、誠にありがとうございます。 父は昨年の冬に手折り、その後入院しておりましたが五日前に様態が急変し、そのまま眠るように逝去いたしました。享年80歳でした。 息子としては、父を失ったことがまだ信じられない思いですが、父は闘病生活から解放されほっとしているかと思います。 生前にご厚誼を賜ったことを故人に代わって御礼申し上げます。 本日は誠にありがとうございました。 |
4.喪主あいさつで気をつけたいこと
葬儀で喪主があいさつする際に、いくつか気をつけたい点があります。
ここでは、葬儀であいさつする際に気をつけるべきポイントを紹介します。
■あいさつは長くても3分以内に収める
あいさつの目安はおよそ1~3分。
伝えたいことがたくさんあったとしても、長々と話すのは避けましょう。
要点を押さえて手短に、を心がけましょう。
■忌み言葉に気をつける
「忌み言葉」は現在ではさほど気にされなくなってきてはいますが、避けた方がよいとされています。
下記に代表的な「忌み言葉」を紹介しています。あいさつでは使用を避けるようにしましょう。
重ねことば | 重ね重ね ますます しばしば 再び |
死に関する直接的な表現 | 死亡 急死 |
不吉なことを連想することば | 浮かばれない 迷う |
■不安な場合はメモを用意する
準備時間の短い中、あいさつがまとまらない場合もあります。
メモを見ても失礼にはならないため、話す順序や要点のみだけでもまとめておくと落ち着いて話せます。喪主として立派につとめるためにも、あいさつは事前に用意しておきましょう。
まとめ
家族や大切な人が亡くなった中、葬儀の準備をする苦労は計り知れません。
喪主のあいさつは何度も行われるため、その都度悩むこともあるでしょう。
しかし、タイミングを把握し、伝えるべき要点さえ押さえてしまえば、あいさつ自体は難しいものではなありません。
今回紹介した、要点や伝え方を参考に故人に対する思いを盛り込んだあいさつを考えてみましょう。
参列者は皆、故人の死を悼み、冥福を祈って通夜や葬儀に足を運んでくださいます。
故人が喜ぶようなあたたかい式になるよう、喪主としてしっかりと考えてからあいさつに臨むことが大切です。