通夜・葬儀・告別式の違いとは？知っておきたい仏式の基本と現代のかたち

通夜・葬儀・告別式──それぞれに込められた意味

「通夜」「葬儀」「告別式」。
どれも耳にする言葉ですが、実際の違いをご存じでしょうか?

かつては、これら三つの儀式を別々の日に行っていました。しかし、今では「葬儀・告別式」とまとめて行う形式が一般的です。、本来はそれぞれに異なる役割と意味があります。その違いを知っておくことで、いざというときにも迷わず、心を込めたお見送りができます。

今回のコラムでは、仏式を中心に「通夜」「葬儀」「告別式」それぞれの意味と、現代のかたちをわかりやすく解説します。

通夜──故人と向き合う静かな時間

通夜は、家族や親しい方が故人と最後の夜を過ごすための儀式です。
昔は、夜通し灯をともして故人を見守る風習がありました。現在では夜に1〜2時間ほど行う「通夜式」が主流ですが、別れの実感を受け止める大切な時間であることに変わりはありません。

また、仏式では通夜の前に「枕経（まくらぎょう）」という儀式を行います。これは、故人の旅立ちに最初のお経を手向けるもので、通夜・葬儀の流れの中で欠かせない一歩とされています。

葬儀式（宗教儀礼）──故人の冥福を祈る時間

「葬儀式（そうぎしき）」とは、僧侶や神職などの宗教者が中心となって行う宗教的な儀式です。仏式では、読経や戒名の授与、引導などを通して、故人の冥福を祈り、極楽往生を願う意味があります。もともとは家族や近親者だけで行うのが本来の形であり、「死者のための儀式」とされています。静かな祈りの中で、故人の生涯を思い、感謝を捧げる時間です。

告別式（社会的儀礼）──社会に別れを告げる式

一方で「告別式（こくべつしき）」は、故人と社会的に別れを告げるための儀式です。友人や知人、職場の方など、広く一般の参列者が集まり、弔辞や焼香を通して故人への感謝と別れを伝えます。告別式は「生者のための儀式」とも言われます。悲しみを分かち合い、故人の死を受け入れる時間でもあります。つまり、葬儀式が宗教的に弔う「死者のための儀式」、告別式は社会的に別れを告げる「生者のための儀式」というように、目的が異なるのです。

「葬儀式」と「告別式」が一緒に行われるようになった理由

明治時代の終わり頃までは、葬儀式と告別式を別々の日に行うのが一般的でした。葬儀式は寺院などで、告別式は自宅や公会堂などで行われていたのです。しかし、昭和に入ると都市化が進み、会葬者の増加や火葬場への移動などの事情から、両方を同日に続けて行う形式が広まりました。

現在の「葬儀・告別式」という形は、この二つの儀式を合わせて行うようになった名残です。宗教者の立場から見ると、前半が「葬儀式（宗教儀礼）」、後半が「告別式（社会儀礼）」として二部構成であると認識されています。時代とともに、習慣や形式が変わっても、それぞれの儀式に込められた意味は変わりません。それぞれの儀式の本来の目的を心のすみにそっと留めておいていただければと思います。

一日葬について──事情に応じて選べる新しいかたち

最近では、通夜を省き、葬儀・告別式を1日で行う「一日葬」を希望される方も増えています。高齢のご家族への配慮や、遠方からの参列者の負担を減らしたいなど、現代の生活事情に合わせた柔軟な形として選ばれることが多いです。

一日葬は、通夜を行わない分、準備や移動の負担を抑えられる一方で、ご家族がゆっくり故人と向き合う時間が短くなるという側面もあります。そのため、ご家族の意向や菩提寺の方針を確認したうえで選ぶことが大切です。

仏式の考え方では、「通夜」「葬儀」「告別式」にはそれぞれに意味があり、お寺によっては一日葬を行わない場合もあります。菩提寺がある場合は、まず事前に相談し、了承を得ておくことをおすすめします。

最近では、通夜を省いて葬儀・告別式を1日で行う一日葬を希望される方も増えています。高齢のご家族や遠方からの参列者に配慮して、負担を軽くしたいという理由が多いようです。

一日葬を選ばれた場合でも、葬儀のあとには「初七日」や「四十九日」「百箇日」などの法要を通して、故人を供養していくことが大切です。

葬儀は“終わり”ではなく、これから続く供養のはじまりでもあります。

納得のいくお見送りのためにご相談ください

形式や習慣が変わっても、それぞれの儀式に込められた意味は変わりません。

どのような葬儀の形を選ぶか迷ったときは、どうぞ仙台典礼の事前相談をご利用ください。ご家族の想いを大切にしながら、最適なプランをご一緒に考えさせていただきます。